新しめのカワサキエンジンはものすごく優等生みたいですね。
カワサキらしくないって言われたりして・・・
カワサキらしくないってどういうことよ(笑)。
しかし私の愛車 GPZ900R はですね当時の空冷エンジンにウォータージャケットを被せただけの・・・冗談です!
当時の大きくなりすぎた空冷エンジン搭載マシンから脱却しようと車体を含めたトータル性能向上のために完全新設計された水冷エンジンを搭載したマシン・・・なんですね。
しかしですね・・・まぁ
カチャカチャ・ガチャガチャうるさいですね。
- 注意 -
年式、形式で違いがあるかもしれません。この記事は、’99 年式の A12 マレーシア仕様がモデルです。
それでは
ー 目次 ー
- 外装等外し
- 次はイグニッションコイルを外します。
- 邪道?手抜き?シリンダヘッドカバーを外すまでが・・・
- アッパーカウルを自由にする
- もうひと手間かけます。手抜き整備の肝 ⁇
- シリンダヘッドカバー外しです。
- ピックアップコイルカバー外し
- あらためて。タペット調整とは・・・
- 調整箇所さえ理解できれば・・・!?
- それでは!タペット調整を!
- 逆手順で組付けて作業終了
外装等外し
まずはフューエルタンクを外します。
①タンク取り付けボルト
②フューエルゲージ配線コネクター
③オーバーフローホース
シートを外しタンク後ろの ボルトを2本外します。
フューエルゲージのコネクターを切り離します。
オーバーフローホースをはずします。
①燃料ホース
②負圧ホース
③フューエルゲージホース
フューエルコックを ON か RES ( PRI 以外 ) に切り替えます。
タンク後方を少し持ち上げフューエルコック裏側に繋がっている燃料ホースと負圧ホースを外します。
次にコックと反対側 (タンク右側) 裏にあるフューエルゲージにつながっているホースを外します。
これでフューエルタンクがはずせますね。
次はイグニッションコイルを外します。
①プラグキャップ
②ナット
③配線コード
シリンダーヘッド ( スパークプラグ ) に刺さっているプラグキャップ (×4本) を引き抜きます。
次にイグニッションコイル本体を止めている2個 (左右で4個) のナットを緩めます。
あとはイグニッションコイルに繋がっているプラス ( 赤 ) とマイナス ( 黒 or 緑 ) の配線2本 (左右で4本) を切り離します。
これで左側イグニッションコイル (#1 ・#4) と
右側イグニッションコイル (#2 ・#3)を外せますね。
この状態でヘッドカバーのボルトを緩めれば
ヘッドカバーを外す ( 浮かす) ことができます。
っが、車体から降ろすことはできないんですね。
ぎちぎちのクリアランスでエンジンが積まれているのでいろんなものが邪魔なんです。
なので次はヘッドカバーを車体から降ろせるようにするための作業です。
邪道?手抜き?シリンダヘッドカバーを外すまでが・・・
本当はアッパーカウルもブラケットごとフレームから降ろした方がかえって楽なのかもしれません。
キャブレター上方のサーモスタットに繋がるゴム配管も邪魔なのではずした方がいいのかもしれません・・・。
しかし、そうなるとヘッドライト、ウインカー、メーターの配線等々の処理をしなければなりません。サーモスタットのゴム配管を外すとなると冷却水の抜き取りも作業に入ってきます。
これでは気軽に「タペット調整やるか」って気にはならないと思います。
で、もしかしたら、もう少し気がるにタペット調整ができるかもしれないという事で作業を紹介していきます。
注意
うちの車両はこれで何とかヘッドカバーを外すことができますが ( 多少強引ですが ) ダメなものはダメなのかもしれません。個体差もあるかもしれません。
” 無理かも・・・ ” と感じたら無理せず必要な作業を追加してヘッドカバーを外してください。
アッパーカウルを自由にする
アンダーカウル付きの車両は
アンダーカウルとセンターカウルをはずします。
多分少数派なので割愛しますね。
ちなみにうちのはフルカウル仕様です( ´∀` )!。
アッパーカウルを自由に (上下に動かせる状態に ) します。
① アッパーカウルブラケットをフレームサイドに繋いでいるボルト
② アッパーカウルブラケットをメーターパネル下からフレームに繋いでいるボルト
アッパーカウルブラケットとフレームを繋いでいる右・左のボルトを外します。右側1本、左側1本の合計2本です。
メーターパネルの下あたりとフレームをつないでいるゴムのカバーで覆われたボルト1本を緩めます。
このボルトは抜き取らずに緩めるだけにしておきます。
※後にこのボルトを軸にアッパーカウル (ブラケット) を上下させるためです。
これでアッパーカウルはブラケットごと上下に動かせます。
動くのですが・・・
もうひと手間かけます。手抜き整備の肝 ⁇
① ブラケットとカウルを繋ぐボタンヘッドボルト
左側だけで良いのでブラケットだけでなくカウル自体が動く(外側に開くことができる)ようにブラケットとカウルをつないでいるボタンヘッドボルトもはずしてしまいます。
写真はブルーアルマイトのボルトに交換されています。本来はクロス (✛) の黒いボタンヘッドボルトです。
ブラケット自体が動くのなら関係ないように感じますがあと数センチ、しかもブラケットではなくカウル自体が動けば (外側に開けば) 外せるのに!って場面が出てくると思います。なので外しておきます。
もう一つ。
② アッパーカウルブラケットとラジエターを繋いでいるボルト。
アッパーカウルブラケットとラジエターを繋いでいるボルト2本を外します。
右に1本、左に1本です。
これで、アッパーカウルブラケットの上下可動域が大きくとれるようになります。さらに、おまけ程度ですが僅かにラジエターも前方に動かせます。こうすることでヘッドカバーも僅かですが前方にもかわす事ができます。
さらにもう一つ。
③ ホースバンドのネジ部分
ホースバンドの締め付けネジ部分を上方にもっていきます。
サーモスタットに繋がるゴム配管を止めているホースバンドです。
③の位置に持っていきます。ピンクの〇印にネジ部分が来ないようにします。
ねじ部分のわずか数ミリですがヘッドカバー上方に余裕ができます。
次はいよいよ
シリンダヘッドカバー外しです。
6本のボルトを緩めシリンダヘッドカバーをはずします。
カバー上面の前方に右、中央、左で3本。後ろも同様に3本で、合計6本です。
ヘッドカバーを前後左右に揺らしてシリンダヘッドから剥がします。
アッパーカウルブラケットを持ち上げ(良き位置で仮止め等して)、
浮かせたヘッドカバーを車体左側から降ろします。
決して叩いたりはしませんが、かなり強引 (でもないかな?) な知恵の輪をします。
この時にブラケットが大きく上下出来る事、
ラジエターが前方に動かせる事、
アッパーカウルが外側に開く事、
それとホースバンドのネジの向きを変えた事
が利いてくると思います。
どうですか?
何とか?ヘッドカバーを外せましたか?
ピックアップコイルカバー外し
エンジン左側にあるピックアップコイルカバーを外します。
少量ですがエンジンオイルがこぼれますのでウエスの用意をしておきます。
バットで受けるほどの量ではないと思います(私感です)。
7本のボルトをサクッと緩めてカバーを外します。
あらためて。タペット調整とは・・・
ここから先は4サイクルエンジンならやることは同じなのでもっと詳しく書かれた方のブログに飛んでもらっても 良いかと・・・
私なりに詳しくかきますね ( ´∀` )!
タペット調整・・・
各気筒の圧縮上死点時のタペットの隙間を調整します。
圧縮上死点・・・
ピストンが上死点(最上位置)にあり
吸・排気バルブが閉じている・・・
吸・排気バルブが閉じているということは
バルブ ( ロッカーアーム ) はカム山に押されていない・・・。
そうです、バルブはカム山に押されて開くのです。
ということは
バルブステム上端とアジャスティングスクリューが接している部分に隙間がある。
(アジャスティングスクリューを摘まんで上下させるとわずかな隙間が判ります。)
この隙間をアジャスティングスクリューを回して調整するということです。
↑ちょっとくど過ぎましたかね。
GPZ900Rのタペット調整は冷間時に行います。
特に何℃ってことはないと思うのですがエンジン掛けた当日はやらずに翌日にしましょうくらいでいいのかと思います。
マニアックな方やプロの方たちはそのエンジンが組まれた組み立てラインと同じ室温で?!・・・等々こだわりや ” ヒ・ミ・ツ ” があるのかもしれませんが・・・。
もう一つ
ピックアップカバーを外した中に見えるローターには”T”と”F”のマークが書かれています。
”T” がタイミング・TOP・圧縮上死点
”F” がファイヤー・点火時期ですね。
今回はタペット調整なので”T”マークを合わせます。
調整箇所さえ理解できれば・・・!?
少し見えにくいですがピンクの矢印の先がクランクケース側の合わせマークです。
写真を撮った角度でずれでいるように見えますが実際には合っています ( ´∀` )!
まずは・・・
”1,4T” がクランクケースの合わせマークと合っているということは、1番シリンダーと4番シリンダーのピストンが上死点にあります。ということです。そのうちのどちらかが圧縮上死点にありますよってことです。圧縮上死点でないほうは排気上死点です。
※以降1番と書かれたものは1番シリンダーのことです。2番~4番も同様です。
それでは・・・
クランクシャフト (ローターにある二面幅24mmのナット) を左回り・反時計回りに ( カムチェーンが張られた状態でマークを合わせる ) 回しクランクケースのあわせマークとローターの ”1,4T” マークをあわせます。
次に・・・
1番の吸気側にあるアジャスティングスクリュー部 (ロッカーアーム) を指で摘まんで上下させてください。同様に排気側も上下させます。
・・・もうわかりましたね!
吸気・排気の両方ににガタ(隙間)があれば圧縮上死点です。
4本の吸排気バルブはカム山に押されていないということです。
なので隙間調整の作業にはいります。
もしも吸気側にだけガタがあり、排気側にガタがなければ排気上死点になっています。
排気側のバルブはカム山に押されて開いているということです。
なので1番は後回しにして、4本すべてにガタのある4番を先に調整します。
↓ 各気筒の工程のことを書いています。参考にしてください。
1番・4番のうち圧縮上死点側の調整が終わったらクランクを180度回し ” 2・3T " に合わせます。
っで、2番と3番のアジャスティングスクリュー部のガタを確認します。吸・排気共にガタのある側の調整をします。
2番・3番のうち圧縮上死点側の調整が終わったらクランクを180度回し” 1・4t ”に合わせます。
先ほど ” 1・4t ” で調整した側と違う側が圧縮上死点になっていますのでそれを調整します。先ほど排気上死点だったものがクランク360度回転で圧縮上死点になっているんですね。
っで、さらにクランクを180度回し” 2・3T " にあわせ、先ほど ” 2・3t ” で調整した側と違う側を調整します。
GPZ900Rは1気筒あたり吸気2本、排気2本の4バルブ。
4気筒なので16個の隙間調整ですね!
調整個所さえ理解できれば・・・
それでは!タペット調整を!
ピックアップコイルのタイミングマークを合わせ、アジャスティングスクリュー部をつまんで上下に動かし圧縮上死点であることを確認します。
バルブステム上端とアジャスティングスクリューが接する部分 ( 隙間 ) にシックネスゲージを差し込みます。
基準値から外れていればロックナットを緩めアジャスティングスクリューを回し調整します。
調整したアジャスティングスクリューをマイナスのスタッビドライバーで押さえつつロックナットを締め付け・・・。
押さえていても
狂っちゃうと思います ( ´∀` )!
ロックナットを締め付けるまではいい感じに調整したのに締め付けると
「アレ?ゆるくなった??」っな感じになるとおもいます。
なのでロックナットを締め付けた際にちょうど良くなるようにアジャスティングスクリューを調整します。
っで、ロックナットを締め付けます。
それから測定。
納得いかなければもう一度ロックナットを緩めて・・・。
GPZ900Rのサービスデータです。
吸気 0.13-0.18mm
排気 0.18-0.23mm
ちなみに昔に乗っていたタペット調整できるホンダの空冷単気筒は
吸気 0.05 ± 0.02mm
排気 0.08 ± 0.02mm
でした。
・・・桁が違いますね。
っで、シックネスゲージを抜き差しするのですが・・・
きつ過ぎず、緩すぎず・・・羊羹を・・・。
私自身は、きつからず・ゆるからずで、ちょうどいいと思うところで調整していますが、この感覚が他の方と同じなのかは分からないわけで・・・。
言い出しっぺがどなたかは知りませんが ( ´∀` )!とりあえずは羊羹を切る場面を思い出しながらゲージを抜き差し!ですね。
っで、次に調整する時は、反省?等ふまえて、前回よりも 0.01mm狭く、とか、調整時の気温がかなり低いんで基準値内の最狭でとか・・・。
逆手順で組付けて作業終了
あとは逆手順で組み付けるだけです。
っが、いくつか注意点を・・・。
ケースとカバーの合わせ面をきれいにします。
ピックアップカバー、シリンダヘッドカバーを組み付ける前にオイルストーンで磨いてピカピカに・・・
ー1度もやったことありません・・・。
スクレッパー等でこそぎ取る場合は万が一キズが入ってもオイルが漏れることが無いような向きに刃先を当てて作業をします。
ん~・・・ケースの合わせ面に沿ってですね。
ガスケットの型 (線) を切る方に刃を動かしてこそいではダメです。
ガスケットの型 (線) に沿う、なぞるようにこそぎます。
- 伝わりましたかね?
ピックアップカバーの組付け時
2か所のボルトにはロック剤を塗布します。
”ピックアップカバー外し”で使っている写真のピンクの矢印の箇所です。
ー 私はしてませんが・・・
ヘッドカバーにはパッキンの合わさる溝があります。
キッチリあわせます。
左右と後ろは目視で確認できますが前側が確認しずらいですね。
車体の右側にしゃがんで下からのぞき込むといくらかは確認できます。
シリンダヘッドの上でヌルヌル動かしていればシックリするところがわかるとおもいます。
シリンダーヘッドとパッキンの合わせ目にはシリコンシーラントを塗布します。
ピンクの線でなぞった個所です。
ー 追記 ー
プラグホールのガスケットも、しっかり確認してください。カバー側に張り付けた状態で組付けできます。'20.05.01
ーーー
こんなところでしょうか・・・。
無事に組みあがりましたか?
すべて組上がればいよいよエンジン始動です!
ヘッド回りの音は静かになりましたか?
シルキーなふけ上がりになりましたでしょうか?
※抜けている (書き忘れ) 作業があるかもしれないです。
気づいた時に都度訂正追加しますのでご容赦ください。
作業を行う際はすべて自己責任でおねがいします。